作者:羅川真里茂 1991年,1994年花とゆめ(白泉社)掲載 2001年別冊花とゆめ掲載「がんばってや」も収録 単行本 全1巻
<あらすじ>
両親が離婚したことで母親の故郷に一緒に帰ることになった茂田井吉蔵中学1年生。東京で育った吉蔵は田舎の雰囲気に馴染めず東京に帰りたいと思う日々が続いていた。
<短評>
やはり羅川真里茂は少年時代を描くのが上手いと感じる。私は主人公の吉蔵のように田舎へ引っ越した経験も無いし、両親が離婚した経験も無い。なのに吉蔵が小さく、少しずつ成長していく姿は私の少年時代にフラッシュバックする。それは作者が人間の内面的成長がどういったものか良く知っているからであろうし、それを漫画で表現するにはどうすればよいか分かっているからだろう。
主人公の吉蔵は歴史が好きというだけでそれが何になるのか分からないから一流の大学へ行こうと思っているのだが、この描写は個人的に心を弄られた。なぜなら私の中学時代とまるで逆の考え方だからである。私のようにはっきりとした夢を持っていてその道に行った人と吉蔵のように夢を持っていなかったから大学に行った人。無論どちらが正しいかなんてない。だがどちらを決断するかは自分自身。そうした「決断」がこの漫画が随所で見られる。「決断」は少年が成長するのに必ず避けられないものであり、そこも上手く描いている。
あまり触れなかったが別作「がんばってや」でもテーマとなる「故郷」がこの単行本の主題になっている。そういった故郷への想いは経験しないと中々分からないものだが、私が昔を想うと思い出す情景はこの作品の中に確かに描かれており作者の力量を感じさせる。 |
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